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木藪日記
第98回
ささやかな楽しみ

依頼者: 娘(24歳)
対象者: 父(54歳)
イラスト
無趣味で仕事ひと筋の父が、突然イマドキのCDを借りてきた。
母は「お父さんにも人並みの楽しみができてよかった」と無邪気に喜んでいた。
しかし、娘のA子さんには不審な行動に映ったらしい。
父はCDを借りてくるたびに、A子さんにダビングを頼んでくる。
それはいいが、不思議なのはカセットテープとMDの両方にダビングすること。
父はMDを再生する機器を持っていない。
A子さんがそのことをさりげなく尋ねると、父は「いいから、とにかくダビングしてくれ」の一点張り。
「父は何かを隠しているはずです」依頼者の父は大学教授であり、週末は決まって自宅にいる。
平日の行動を監視することになった。
月〜金曜は、昼食以外の時間はほとんど研究室にこもりきり。
後は自宅と大学を往復するだけの単調な生活だ。
寄り道することもない。
ただ一人、連日のように研究室を訪ねてくる女子大生がいた。
そして必ず1時間以上、2人きりの時間を過ごしている。
明るいタイプではないが美人で成績優秀。
彼女の学内の評判はすこぶるいい。
病弱な母との母子家庭で育っている。
ファザコンだったとしてもおかしくない。
まあ、娘の勘は鋭いから気をつけよう、というお話。
父と女子大生との関係については、読者のご想像にお任せしよう。
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