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「父親を探してください・・。」行方調査を依頼してきた女性は去年、長男を出産したという。
彼女の両親は、彼女が小学生の時に離婚。それ以来、一度も父親に会っていないという。
小さなわが子を見ているうちに、どうしても自分の父親も見てもらいたくなったとのこと。
早速、翌日から調査を開始した。
彼女の母親と別れた父親は、千葉県内で建設会社を経営していたが、不況のあおりで数年後に倒産。
会社の金を持ち逃げし、姿をくらましていた。
しかし、ひょんなことから海外に身を潜めていた事実が判明した。
タイで「画家」称し、そこで知り合った30代で独身の日本人OLといい仲に。
そして、2人で一緒に帰国し、彼女から200万円借金してトンズラ。
そのまま全国各地の友人、知人を訪ねて転々と逃げ続けている。
調査開始から3ヶ月で、父親の居場所を突き止めた。
見つけたのは、千葉県内の建設現場のタコ部屋。
彼は1人で寝ていた。”逃亡者?”は最後に必ず、土地勘のある場所に隠れようとする。
ぼさぼさの白髪頭に血走った目、やせこけたほほ。経営者だった面影はない。
「娘に会いたいが、合わせる顔がない」と涙ぐむ彼の気持ちも分かったが、ここから先は親子の問題。
その場で依頼者に電話をかけ、「見つかりました」と伝える。
受話器の向こうの声は、戸惑いながらも弾んだ、うれしそうな声だった。 |
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