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<概要>
「医師限定のお見合いパーティーで知り合った相手の男性の行動を調べてほしい」と訪ねて来たのは、中堅商社に勤めるOL(30)で、やや地味な印象の女性だった。相手の男性は「K大医学部卒。33歳の勤務医」で、交際が始まって半年近くになるという。「それとなく結婚の話題を持ち出すと、すぐにはぐらかされちゃって。ほかに女性ができたんじゃないかと思うんです」と、彼女はかなり思い詰めた様子だ。
調査は4日で終了した。結果を話そうと彼女を事務所に呼ぶと、「やはりほかに女性が?」と不安げな表情を浮かべる。
「彼は勤務医じゃなくて、ある薬品メーカーの営業マンです。すでに結婚して2歳になる子供もいます」
しばし無言の彼女。15分ほどしてようやく「夢見て、高望みしたのが間違いだったのかも」と重い口を開いた。
「薬品会社の営業は頻繁に病院に出入りしますから、勤務医に化けるのはたやすかったのでしょう。彼自身、医師にあこがれていたようですね」
金銭的な被害にはあっていない。「黙って彼の前から姿を消すつもりです」と言い残して、彼女は事務所を後にした。
どうしても医師と結婚したかった女と、医師になりたかった男の幕切れはあっけなかった。 |
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