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木藪日記
第26回
反面教師

依頼調査: 行方調査
対象者: 食品会社勤務の夫(35)
イラスト
<概要>
「“兼業主夫”の生活に疲れてしまって」ーーーこれが家出した夫(35)の言い分だった。
彼はある食品会社の経理マンで、毎日必ず7時に帰宅するまじめ男。一方、保険のセールスをしている妻(27)はかなりのやり手らしく、深夜帰宅もザラ。炊事から洗濯まで、家事一切を彼が引き受けていたそうだ。結婚1年目の新婚カップルである。
「夕食を作って待っていても、妻の帰りは遅いし。もう何もかも嫌になったんです。理想の結婚生活とは全然違った」と彼。
この夫が突然会社を辞め、行方をくらましたのが2ヶ月前。「これを機に離婚したい」という妻の依頼で彼の消息を追っていたというわけだ。
彼の居場所を突き止めるのは骨が折れた。実家の両親や友人など、だれともコンタクトを取っていなかったからだ。2ヶ月の調査で見つけた時、彼は風俗嬢の部屋でヒモ同然の生活をしていた。本物の“主夫”になっていたわけだ。
「ほとほと人生に疲れた」と漏らしていた彼は、その後、風俗嬢に追い出され、離婚も決まった。世の妻たち、きっと彼と同じように疲れているはず。「男と女が逆転した」とは笑えない話だ。
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