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木藪日記
第100回
金と力はなかりけり

依頼者: A子さん(34歳)通信関係の会社に勤務
対象者: B男(39)お見合い相手
イラスト
通信関係の会社に勤めるA子さんは、やり手のキャリアウーマンだ。
男が気後れするほどの美人であるがゆえに恋人ができない、損なタイプである。
A子さんは3ヶ月ほど前、男性医師限定のお見合いパーティーに参加した。
そこで知り合ったB男の「もっと肩の力を抜いて。かわいい笑顔が見たいから」のひと言に、グッときたらしい。
乙女心である。「先日、彼にプロポーズされて、一緒に式場まで見に行ったんです」と相談に来た。
結婚式にかかる費用の300万円を彼に渡した途端、連絡が取れなくなってしまったそうだ。
間違いなく詐欺だろう。
B男の本名と合致する医師免許の取得者はいなかった。
住所もでたらめ。恋人の住まいを確かめずに結婚を決めたA子さんもどうかと思うが、とにかく捜し出さねば。
あらゆる手を尽くしたが、B男の所在がつかめない。
もしやと思い、ウチの女性スタッフを週1回、医師限定のお見合いパーティーに潜り込ませることに。
B男がまた現れるという直感だ。
5回目で”ヒット”した。
開業医を装って女性スタッフに近づいてきたB男を尾行。
後はA子さんと一緒にB男の居住先に乗り込むだけである。
B男は古アパート暮らし。長身の色男でも、金と力はなかりけり・・・を地で行く無職男だ。
その場で100 万円は取り返せたが、「残りは分割でお願いします」とB男は泣いた。
「彼を信じたい」というA子さんの乙女心も、その芝居がかった涙で、一気に冷めたようだった。
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