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木藪日記
第7回
4分間の疑惑

調査内容: 尾行調査、4日間
対象者: 夫(34歳)
イラスト
<概要>
「最近気づいたことなんですが、夫(34)はほぼ毎日、必ず夜の12時になるとたばこを買いにでかけるんです」
依頼者の妻(28)は都銀勤めのOL。商社マンの夫の行動が怪しいという。結婚3年目で子供はまだいない。
自宅マンションから最寄りのたばこの自販機までは、往復で徒歩8分ほどの距離だ。
「でも、夫は12分ぐらいかかるんです」
さすがに女は鋭い。
調査初日の夜。確かに夫は12時きっかりに家を出た。自販機までの道すがら、携帯メールを2、3通やりとりしてから12分で帰宅している。メールのやりとりで4分の誤差が生じたわけ。
夫は2日目も3日目もまったく同じ行動を取っている。
「これじゃあ、浮気もばれるわな」
そう感じるのは、私だけではないはずだ。
4日目に動きが出る。夫は自販機の横に止まっていた車に乗り込み、運転席の若い女とキス。5分の“密会”の後に、大急ぎで走って帰宅している。証拠写真はバッチリ押さえた。
浮気相手は24歳のホステスで、夜の12時に仕事が終わる。それに合わせてメールのやりとりをしていたというわけ。4日目は、たまたま彼女の休日だったらしい。
こう言っては何だが、浮気するにはあまりにも不器用すぎる。
人間、二つの事に目を配ることは出来ない。
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